古代とんぼ玉

古代とんぼ玉ローマンモザイクフェイス
 ガラスの起源については諸説あるが、古代ローマの博物学者S.プリニウスの「博物誌」に次のような伝説が記されています。

「その昔、天然ソーダを商うフェニキア商人たちの船が地中海東岸のティルとアクルの町の中間辺りを流れるベールス川の河口に来たとき、彼らは食事の用意のために岸辺に降り立った。しかし、大鍋を支えるための石が見つからない。そこで、積荷のソーダ塊を取り出してその上に鍋をのせて火をつけた。
すると、このソーダ塊が熱せられて砂浜の白砂と合わさり、見たこともない半透明の液体が流れ出てきた。これがガラスの起源になったのだという。」

ガラスの発明からほどなくして、ガラスビーズの製造も行われるようになったと考えられています。
当初は、より簡単に製造が可能という理由で、天然石のビーズの代替品としての意味が強かったのかもしれません。3000年以上も昔の機械のない時代においては、美しい模様の石を「発見」して「切出」して「運搬」して「成形」して「穿孔」する工程はいかに大変だったことか・・・

そしてその想像を絶する大変さは、スジ瑪瑙などの美しい模様をもった天然石を色ガラスで再現する技術の発明に繋がったと考えられます。

更に、ローマ期にはミルフィオリ技法、モザイク技法、レース技法などの発明により、様々な美しい文様が小さな玉の上に表現されるようになったのです。

写真は紀元前後頃ローマ期の人面モザイク玉。
人面玉の中でも6面の人面モザイクが貼付けられている玉は極めて珍しい。
(個人蔵)


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イスラム玉 ジュンネのとんぼ玉 インドパシフィックビーズ
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